好きなように思い込む

2022年11月20日
ダレン・ブラウンをご存知ですか? 世界的に有名なメンタリスト、催眠術師、奇術師......どう言ったらいいのかな、すごく不思議な人物です。ダレン・ブラウンは「人間は洗脳されやすい」ということを常に警告し続けているような人です。たとえば「push」という彼のドキュメンタリー映画があるんですが、この映画ではごく普通の人々が「仕掛けられた物語」の中で殺人を犯すことを実証するための壮大な社会実験を描いています。「トゥルーマン・ショー」って映画あるでしょ?あれは、たぶんダレン・ブラウンのテレビ番組からヒントを得て作られたんだろうと思うよ。ダレン・ブラウンは「他者に追従しやすい人間は社会的な同調圧力で殺人者にもなる」ことや「行動療法的な条件づけで恐怖を克服すれば、人は英雄にもなれる」ことを、自身の番組で見せてきました。また、宗教的な癒しや奇跡すら再現し「思い込み」や「確信」が慢性的な疾患の治癒をもたらすことを証明して見せたりします。ダレン・ブラウン風に言うなら、人は奇跡を自ら創造している......と言えます。奇跡は外側から与えられるものではなく、それぞれの人の強い「確信」「思い込み」によって生み出されている。......ってことは、つまり「痛い」とか「怖い」という観念が、実際以上の痛みや恐怖を作り出し、自分が作り出した痛みによって苦しんでいる人が多い、ってことかもしれないです。基本的にブレーン・ウォッシュは、ウォッシュはできない。それは催眠のプロの苫米地英人さんから聞きました。「洗脳とはつまり上書きのことなんだ」と。痛みが消えた......のだとしたら、なにかしらの暗示、あるいは体験によって「痛くない自分」に書き換えられた......ということなんだね。もちろん、マジで痛みが強い人には効かないと思うけど......。苫米地さんと会うと「私に暗示かけないでね」って毎回念を押してたな(笑) 苫米地さんという人はすごく変わった人だけれど、メディアが人間を洗脳している......つまり、人間は常に外側から洗脳され続けてるし、社会生活をしている限り洗脳されないなんてことは難しいから、だったら自分で自分を好きなように洗脳しろ、みたいなことを力説していて面白かった。クリエイティヴ・ライティングは文章創作講座なので、まず「上手く書けない」とか「できない」という思い込みを外していきます。特にリアル講座は時間をかけてそれをやっていきます。ちょっとダレン・ブラウンに似てるかもな、って思った。人は「上手い文章がある」という先入観にものすごくとらわれているから。国語教育の弊害だと思う。思い込みの過去、思い込みの未来も、書き換えられるのが創作の面白さ。自分の好きな過去を作っていいんだよ、好きな物語を書いてみよう、その主人公になって自由に動き回っていい。小説はそうやってでき上がっていきます。